まちづくり三法改正の概要

まちづくり三法は中心市街地活性化法及び各種の支援策により活性化を実現しようとするものであった。しかしながら、制定から7年を経て、中心市街地の活性化に取り組む地域は数多くあるものの、目に見える効果が挙がっているところは少なく、総じて言えば中心市街地の状況は必ずしも改善していない(*1)。現状のまま中心市街地が衰退し、市街地の機能が郊外へ拡散していくと、少子高齢化により人口が減少に転じる中で、地方財政が都市のインフラ維持のためのコストに耐えられなくなるとともに、高齢化や治安の悪化等によりコミュニティが荒廃するおそれもある。

(*1)まちづくり三法見直し検討ワーキングチーム、『まちづくり三法見直しに関する最終取りまとめ』2005.12,p1

こうした危機感から、近年、市街地の郊外への拡散を抑制し、まちの機能を中心市街地に集中させるコンパクトシティの考え方が提唱されている。このような状況を背景に、まちづくり三法の見直しが進められ、平成18年5月、まちづくり三法の改正法案が成立した。改正法の概要を以下に述べる。

これまでの中心市街地活性化法では、「中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進」を法目的としていた。そのため中心市街地の活性化が商業者保護のように捉えられ、地域住民の十分な協力が得られないケースもあった。このような反省を踏まえ、今回の改正中心市街地活性化法では、法目的を「少子高齢化、消費生活等の状況変化に対応して、中心市街地における都市機能の増進及び経済の活力の向上を総合的かつ一体的に推進」に改めた。多様な関係者が集う中心市街地の活性化には関係者間の連携が必要不可欠であり、中心市街地に対する参加意識を促していく必要がある。そのため基本理念においても「地域における社会的・経済的及び文化的活動の拠点となるにふさわしい魅力ある市街地の形成を図ることを基本とし、地方公共団体、地域住民及び関係事業者が相互に密接な連携を図りつつ主体的に取り組むことの重要性にかんがみ、その取組みに対して国が集中的かつ効果的に支援を行う」ことを掲げ、「連携」の重要性を指摘している。

また、市町村が中心市街地活性化法に基づく支援措置を受けるためには、中心市街地活性化基本計画を策定しなければならないが、改正法ではこれまでの公表・主務大臣及び都道府県への写しの送付に止まっていた作成手続きを見直し、内閣総理大臣による認定制度に改めている。内閣総理大臣を本部長とする「中心市街地活性化本部」を内閣に設置し、基本方針案の作成、各省庁間にまたがる各種支援施策の総合調整、事業の実施状況のチェック、レビューを行い、支援地域の選定を厳正に行う。「選択と集中」の仕組みを導入し、やる気のある市町村の重点的支援により、中心市街地活性化の「成果」を重視する。5年以内に実現可能なプランでなければ基本計画に盛り込めない等、これまでの基本計画と異なり、実現可能性の高い計画を積極的に支援していこうとするものである。

このような計画を実際に実施するために、今回は「機能するTMO」の設置にも力点をおいている。タウン・マネジメント活動の機能強化を図るため、改正前の中心市街地活性化法に基づき、商業活性化のための取組み(中小小売商業高度化事業計画)に偏って事業を推進してきたTMO(タウン・マネジメント機関)の組織及び活動を抜本的に見直し、民間によるまちづくりの司令塔として、まちづくり全体に関わる活動を総合的に実施することを可能とするタウン・マネジメント体制を構築するものである。具体的には、内閣総理大臣の認定を受けた基本計画に記載された事業を一体的かつ円滑に実施するために必要な事項を協議する「中心市街地活性化協議会」を中心市街地ごとに新たに設置(法定化)する。協議会は、商工会議所・商工会・まちづくり会社等と中心市街地整備推進機構等が共同で組織し、市町村や地権者など多様な担い手の参画を得て様々な民間事業活動をとりまとめ、地域のまちづくりを総合的にコーディネート(企画・調整)する。この取組みによってTMOを、中心市街地に関わる様々な人々が参画できる総合マネジメント組織として機能させることを目指している。

また、都市計画法・建築基準法の改正法では、これまで無制限に3000m2以上の大規模商業施設の立地が可能となっていた第2種住居地域、準住居地域、工業地域といった商業系以外の地域について制限を加えるなど、法全体として郊外にいくほど規制が厳しくなる体系への移行が図られた。大規模商業施設の立地調整の面では機能していなかった立地調整の仕組みを適正化した内容となっている。

中心市街地活性化法の主な改正内容

1. 基本法的な位置づけへの改正

  • 既存の法律名に含まれる「市街地の整備改善」、「商業等の活性化」にとどまらず、総合的に活性化策を進める必要性から、基本法的な性格を持つ「中心市街地の活性化に関する法律」へ名称変更する。また、多様な魅力を持った中心市街地の形成に向け関係主体が連携して取り組み、それに対し国が集中的・効果的に支援を行うという、活性化の基本理念を規定する。さらに国、地方公共団体及び事業者の中心市街地活性化のための責務規定を新設する。

2. 国の体制等の強化

  • 内閣総理大臣を本部長とする中心市街地活性化本部を設置して関連省庁の連携・調整を図り、施策の総合的な推進体制を整える。また、市町村が策定した計画について、内閣総理大臣が認定を行う制度を導入するとともに、本部においては、活性化事業の実施状況のチェック&レビューを行う。

3. 総合的推進体制の整備

  • TMOを発展的に改組し、商工会・商工会議所等に加え、市街地の整備や住宅開発等を行う事業者等、多様な関連主体が参加する「中心市街地活性化協議会」を中心市街地ごとに新たに設置(法定化)。

    協議会は、基本計画に対する関係者の意見をとりまとめて市町村と協議したり、基本計画に基づく事業を実施する各主体が事前協議を行ったりするなど、地域のまちづくりを総合的にコーディネートする。これにより、多様な主体が目標を共有し、連携をとりつつ、効果的に事業を推進できる体制を整備する。

4. 意欲的な中心市街地への支援拡充

  • 市街地の整備改善、都市福利施設の整備、まちなか居住の推進、商業の活性化、公共交通機関の利便性増進など、認定基本計画に対して補助事業の実施等の支援を重点的に行う。

都市計画法・建築基準法の主な改正内容

都市計画法の改正法は、大規模集客施設の立地調整の仕組みを適正化し、郊外への都市機能の拡散を抑制するものである。この場合の大規模集客施設とは、延べ床面積が10,000m2を超える施設を指し、店舗以外にも、飲食店、劇場、映画館、展示場等が含まれる。

1. 大規模集客施設立地の適正化

  • 非線引き白地地域や準都市計画区域内で用途地域が定められていない地域での大規模集客施設の建設は原則不可能とする。
  • 市街化調整区域への例外規定を廃止し、原則として全ての開発について許可制とする。
  • 用途地域による規制を厳格化し、大規模集客施設については、原則として商業地域・近隣商業地域・準工業地域においてのみ立地可能とする。
  • 三大都市圏及び政令指定都市以外の地方都市では、準工業地域において大規模集客施設の立地を抑制する特別用途地区を指定することが基本計画の認定を受けるための絶対条件となる。
  • 都市計画区域外の取り扱いを見直し、農業関係の規制と連携させる。具体的には、準都市計画区域制度を見直し、農地を含め、土地利用の整序が必要な区域等に、幅広く準都市計画区域を指定できるようにする。

2. 広域調整の仕組みの創設

  • 都道府県が広域的な視点から望ましい立地を調整できるような仕組みを整備する。市町村が用途地域の変更等を行う場合には、都道府県知事の同意が必要となるが、その際、関係する他の市町村の意見を求めることを可能とする。また、準都市計画区域の指定権者を、現行の市町村から、広域的視点で指定が行える都道府県に改める。

3. 公共公益施設の中心市街地への誘導

  • 開発許可の不要であった医療施設・社会福祉施設・学校についても開発許可の対象とする。

大店立地法の主な改正内容

1. 業界ガイドラインの作成等による事業者の社会的責任を強化する。

2. 大規模小売店舗併設サービス施設を対象施設に含める。

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