1) 事業概要および特徴
「ダイエー長野店」「長野そごう」(平成12年)の相次ぐ退店によって核施設を失い、中心市街地の空洞化が進んだ長野市では、平成15年に善光寺のご開帳を控え、緊急に中心市街地の活性化に取り組まねばならない状況にあった。このようななか、長野商工会議所は、平成14年にTMO構想の認定を受け、調整型TMOとしてスタートした。翌15年には商工会議所や地元商店街が出資し、「(株)まちづくり長野」を設立した。平成14年はまた「ダイエー長野店」を長野市が取得し、必要最低限の改修工事を行い、翌年には「もんぜんぷら座」をオープンさせ、1階には(株)まちづくり長野直轄店「TOMATO食品館」が入居している。
一方、そごう跡地も信越放送が取得し、隣接の旧来からの再開発計画地と一体となって再開発事業を行い、信越放送の他、商業施設、市の生涯学習センターが入居する「TOiGO」として生まれ変わった。郊外にあった信越放送が市街地にきたことで、活性化に期待が寄せられている。
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2) コンセプト、誘致店舗・テナント
「もんぜんぷら座」のコンセプトは「市民活動と交流の場の提供」。
「もんぜんぷら座」は、1階に「TOMATO食品館」、地下1階及び2〜4階で児童施設等の公共公益施設が入居、5〜9階の活用については現在未定である。
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3) 事業遂行上のキーパースンとその役割
長野市長 鷲澤正一氏、タウンマネージャー服部年明氏
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4) 行政、民間、コミュニティ等のコラボレーションについて
旧ダイエー長野店の取得について市民対話集会を開催(参加者516名)。オープンに際し、市民やボランティア団体による活用提案も取り入れた。現在、市の「もんぜんぷら座」事務局が、各施設の代表者を招集し、運営委員会を月一回開催してビル運営の調整を行っている。また、市民代表や有識者等で構成する活用検討委員会を設け、将来に向けてのビル活用方針や各施設の運営評価を実施している。
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5) 成功の要因
大手流通業幹部として、地元長野の状況を知り尽くした服部タウンマネージャーのマネジメント。
施設利用については、無料か格安の料金設定をしたことにより、気軽に利用できる施設として市民の間に定着している。長野市がスピード感と責任感を持ち事業を推進したことにより、その後の再開発事業やTMO事業を誘発した。
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6) 苦労した点、課題
短期間で旧ダイエー長野店を取得し、活用計画をまとめオープンさせたこと。
既存ビルの耐震補強が必要であったことや、窓がないこと。一般用エレベータがなかったこと。
既存建物を使用するについて現行法(建築基準法、消防法等)の制約があったこと。
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7) 権利者調整について
一部土地の借地問題やダイエー時代からの店子問題があった。
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8) 事業性(採算性)確保のための方策
- 経済産業省商業・サービス業集積関連施設整備資金貸付金
- 国土交通省まちづくり交付金
- 中心市街地活性化タウンマネージャー派遣事業制度
- 流通のプロである、元信州ジャスコ取締役の服部氏をタウンマネージャーとして招聘。
- 長野市商業振興事業補助金
- イ 集客に役立つ施設等活用事業(対象:商店街団体): 商店街団体が空き店舗を集客に役立つ施設等として活用する場合、店舗の改修費用の1/2(限度額300万円)を補助し、また、空き店舗の賃借料の1/2(限度額20万円/月)を5年間補助する。
- ロ 店舗等出店活用事業(対象:商店街団体): 商店街団体が空き店舗を賃借し、この店舗に出店しようとする事業者に貸し出す場合、店舗の改修費用の1/3(限度額200万円)を補助し、また、空き店舗の賃借料の1/2(限度額15万円/月)を12月分補助する。
- ハ 中心市街地等空き店舗等活用事業(対象:個人・法人事業者): 事業者等が中心市街地の空き店舗を賃借して活用する場合、店舗の改修費用の1/3(限度額100万円)を補助し、また、空き店舗の賃借料の1/3(限度額5万円/月)を12月分補助する。
- 中小企業庁 中小商業活性化総合支援事業補助金
- 平成18年度戦略的中心市街地中小商業等活性化支援事業費補助金
- 中心市街地活性化を目的とし、まちなか居住の推進や来街者の増加など、まちづくりと一体となった地域の取り組みに対する重点的支援策。国から商店街振興組合、事業協同組合、TMO等に総事業費の2/3を補助する
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もんぜんぷら座(旧ダイエー長野店) |
TOiGO(旧長野そごう跡地) |
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ぱてぃお大門 |
ぱてぃお大門(外観) |
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9) 現状の政策支援の評価
コンバージョン関連の支援策がいくつかできてきたこと。
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10) 新たにどのような政策支援が必要か
旧ダイエー長野店の建物は、築30年を経過して老朽化しているため、今後も何らかの改修工事が必要となる。改修等についての支援を希望している。
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11) その他
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