まちなか再生事業事例紹介


 和歌山県和歌山市(丸正百貨店・大丸百貨店跡地)
 〜特区制度活用による中心市街地活性化の取組み〜

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1)概要(これまでの経緯、取組の内容、活用した制度)および特徴

丸正百貨店及び大丸百貨店があった中心市街地は、共にJR和歌山駅、南海和歌山市駅から歩いて10〜20分の距離に位置するものの、県内での主たる交通手段が自動車であるため、買い物客は駐車場の少ない中心市街地よりも大型駐車場完備の郊外型ショッピングセンター(以下、SC)を選択する傾向が強い。これに加えて、道路整備に伴う自動車でのアクセス利便性の向上から、これまで市内で買い物をしていた利用者の一部が大阪まで流出するようになった。平成10年に閉店した大丸百貨店に引き続き、平成13年には丸正百貨店、ワボック(旧ビブレ)も閉店に至った。丸正百貨店本館、ワボック(旧ビブレ)は現在でも空き店舗のままとなっている。このような核施設の撤退もあり、ぶらくり丁商店街の空き店舗率は平均で20%程になっている。

丸正百貨店跡地 ぶらくり丁内空き店舗
丸正百貨店跡地 ぶらくり丁内空き店舗

 このような中、「和歌山元気まちおこし特区」の活用による本町・城北地区における「大規模小売店舗立地法」の緩和に伴い、平成17年10月、旧大丸百貨店には「ドン・キホーテ」が入居し、再生が始まることとなった。

ドン・キホーテ ワボック(旧ビブレ)跡
ドン・キホーテ ワボック(旧ビブレ)跡

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2) コンセプト、誘致店舗・テナント

中心市街地の再生には核店舗を「まちのシンボル」として再興することをコンセプトとしている。旧丸正百貨店北別館は平成16年にカフェレストラン、ライブハウスとしてオープンし、旧大丸百貨店には「ドン・キホーテ」が入居している。旧丸正百貨店本館でも平成18年度より地元民間事業者((株)和島興産)が再生に着手している。

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3) 事業遂行上のキーパースンとその役割

4) 行政、民間、コミュニティ等のコラボレーションについて

平成14年10月には「まちおこしプロジェクトチーム」を設け、商業者のみならず、地元住民、行政職員、市民らを交えた「ワークショップ」を繰り返し実施し、市街地の活性化に関する調査・検討を行った。

和歌山市では、ぶらくり丁の再生に当たり、第三セクター「株式会社ぶらくり」を平成12年に設立して、出店に対するコンサルティング業務などを実施し、出店準備や補助金等、実務面の相談にも応じる等を行い、新規出店者のハードルを低くすることに成功している。

ぶらくり丁  
ぶらくり丁  

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5) 成功の要因

(同上)

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6) 苦労した点、課題

中心市街地のオーナーの多くが、テナントとして貸す気もない人が多く、賃貸交渉が非常に難しかった。

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7) 権利者調整について

旧丸正百貨店が複数地権者であるのに対し旧大丸百貨店は単一地権者であったほか、倒産に至った旧丸正百貨店に対し、旧大丸百貨店では単にテナントである百貨店の撤退というだけであったため、次のテナントへの賃貸がスムーズに進んだ。

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8) 事業性(採算性)確保のための方策

特区制度の活用により大規模小売店舗立地法の手続きを緩和すると共に、下記のような制度を活用した。

  1. 中心市街地活性化基金事業(和歌山県)
    •  中心市街地の商業活性化推進のための基金を財団法人わかやま産業振興財団に創設して、TMO等が行うコンセンサス形成事業、テナントミックス管理事業、広域ソフト事業、事業設計システム開発事業に対し、総事業費の90%以内を補助する。
  2. 商店街活性化総合支援事業(和歌山県)
    •  商店街の活性化を図るために、商店街等の自助努力により積極的に取り組む創意工夫あるハード・ソフト事業に対して補助する。
  3. あきんどインキュベータ事業(和歌山県)
    •  商工会議所やTMOに委託して、新たな小売商業創業希望者に実践的開業指導を実施するためのインキュベーター施設を開設する。
  4. 商店街振興組合連合会指導事業(和歌山県)
    •  商店街振興組合等の振興と指導強化を促進するため、情報誌の発行や講習会開催、商店街青年部・女性部の研修会事業を実施する県商店街振興組合連合会に対し補助する。
  5. 空き店舗支援事業補助金(和歌山市)
    •  商業団体等が、空き店舗を借上げ、商店街に必要な業種を誘致し、新規開業を推進する事業又は多目的ホール等地域のコミュニティスペースとして空き店舗を有効利用する事業に対して助成する事業。補助対象は商店街振興組合に限らず、協同組合、任意組合でも可。補助額は家賃の半額以内で、平成18年度は月額6万円を上限としている。

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9) 現状の政策支援の評価

ドン・キホーテの出店は特区制度による出店手続きの簡素化により実現したものであり、特区設定の効果があったと言える。また、和歌山市では、商店街振興組合による空き店舗の借り上げ及び転貸において、賃借人に対して月額6万円の家賃補助を実施しており、ぶらくり丁で活用実績があがっている。

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10) 新たにどのような政策支援が必要か

講演やイベント等にスポット的に専門家に来てもらうのではなく、専門家を常駐させ、地域特性を把握した上で問題解決に共に取り組むことが必要。

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11) その他

  1. ワボック(旧ビブレ)跡地
    •  ボートピア(場外舟券発売場)誘致の話もあるが反対運動もあり、決定という段階ではない。
  2. 和歌山市の中心商店街の置かれている状況
    •  郊外のみならず大阪へも消費者は移動。市内へは1時間半、阪南(関空周辺)であれば30分の距離にある。また、商店街周辺には市営の地下駐車場やコインパ―キングも多数存在している。しかし無料ではないため、郊外型SCに対抗できない。
  3. 支援状況
    •  県では空き店舗支援というのは特にやっていない。あくまで商店街を活性化するという目的があってはじめて空き店舗支援も可能となる。また、市では商店街振興組合で空き店舗を借上げて転貸した店舗に対して月額6万円の家賃補助を実施しており、ぶらくり丁で活用実績があがっている。出店する商店街が決まったらそこの商店街振興組合に相談し、組合から市へ補助金について問い合わせするように指導している。
    •  また、県の支援策は、商店街振興組合連合会の指導業務に対する補助があり、今年度は450万の予算規模で実施している。次に基金事業で、8月に改正された旧法の中心市街地活性化法に基づく支援事業である。内容はコンセンサス形成事業で、(株)ぶらくりが実施主体となり、セミナーやテナントミックスの管理事業、システム開発事業、不動産の総合プロデュースを実施している。空き店舗へのインキュベーター事業もある。16年度は和歌山市と田辺市の2ヶ所、17年度以降は新宮市も加わり、県内北部、中間地点及び南部の3ヶ所で実施。田辺、新宮は商工会議所、和歌山市では(株)ぶらくりが指導。各地域それぞれ1〜2店が今のところ開業してきている。これを実施することによって商店街内にも、外部から何店か転入してきての開業があり、これも成果の1つ。
    •  郊外店の需要もあるなか、中心市街地に対して財源の集中投資をするかどうかは難しいところ。中心市街地以外の商店街からはどうして中心市街地ばかりにという声は聞かれる。 現在、和歌山市では、商業のみならず、中心市街地を対象にしてまちづくりを重点的に実施する「まちおこし推進課」を創設している。さらにまちづくり会社のメンバーが一新され、これまでは単に補助金の相談程度の頼り方しかしてないという感じがあったが、変わっていくのではないかと期待している。

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