西米良村「持続可能な村づくり事業」

人口 ▶ 964人(R8.5月1日現住人口)  面積 ▶ 271.51㎢

 西米良村は、宮崎県の中央部最西端に位置する県境の山村地です。急峻な地形で村の
96%が山林となっており、主要幹線道路は国道219号線と265号線があります。
 村には、平安時代の後期から室町時代にかけての450年にわたって活躍した武士の一族として知られる菊池一族の歴史が色濃く残っており、菊池の精神・菊池の教えを大切にする村民性があるのも特徴で、「西米良村の未来を思いやる幸せ度の高い持続可能な村づくり~1,000人が笑う村~」を合言葉に、地域振興に取り組んでいる地域です。

▲西米良村の景観

課題と事業の背景

 人口減少が進み、現在は人口1,000人未満となった村では、「働き手の確保」、「観光イベントの資金調達」や「交流・関係人口の創出」が大きな課題となっています。人手不足により事業の縮小を余儀なくされ、観光客が多く訪れる村の一大イベント「やまびこ花火大会」でも、資金確保が難しくなりつつあります。

 こうした状況を受け、これらの課題を個別に対処するのではなく、地域資源を活かしたツーリズムや農業の強化を通じて、包括的に課題解決を図ることとしました。村では交流人口・関係人口の拡大を通じて、移住・定住の促進を図る方針を掲げていることから、村の基幹産業である「農業」と「観光」に焦点を当て、新たなビジネスの創出や既存ビジネスの強化に取り組むことを目的としています。あわせて、観光については人材確保を進めることで、役場内部に置かれている観光協会の機能を民間事業者へ移譲し、より軽いフットワークで、戦略的に稼げる観光体制への転換も目指していきます。

▲やまびこ花火大会

令和7年度の取り組み

中山間地を活かした西米良型(複合経営)アグリビジネスの強化

 西米良村のアグリビジネス展開における主要作物であり、今後、国内外に訴求し得るブランディング展開可能な作物として柚子を選定し、村内の柚子農家を対象に現地踏査・ヒアリングを実施し、その結果、柚子+αの作物や仕事を組み合わせることにより、収入を得られる可能性を探しました。

 ヒアリングを行う中で、法人格を持ち、滞在拠点施設(食・宿泊・加工)を持つ(一社)おがわ作小屋村がある小川地区をモデル地域とし、農繁期の人手不足を外部人材の受け入れによって補う「西米良型シン・ワーキングホリデー」を検討していくこととしました。また、地元にUターンし柚子栽培をしている専業農家の手伝いをしながら、地域に滞在する2泊3日のお試し滞在を企画・実施しました。全国公募により44名の応募者があり、そのうち6名の参加がありました。

 令和8年度に向けては、お試し滞在企画に参加いただいた都市部からの方々の意見も参考にし、(一社)おがわ作小屋村の運営者、地域住民などとも意見交換を行い、「西米良型シン・ワーキングホリデー」の制度設計について協議を行うことができました。

 さらに、柚子農家、食品加工グループとの意見交換を通じ、今後村内で柚子を使った料理やお菓子などを広めるヒントを得るために、柚子を使った「柚子料理大集合」を実施し、14品の試作・試食を行いました。

地域資源を活かした西米良型ツーリズムの創出(DMO立ち上げの検討)

 村内の観光推進組織になり得る民間事業体、および村の新たな観光プログラムの受け皿になり得る個人事業者の方々を選定し、意見交換、勉強会を実施しました。

 持続可能な観光に関する外部専門家による勉強会では、村で進める観光の在り方について方向性を確認することができました。

 また、村の関係者会議体にあわせて、上記メンバーによる観光戦略会議も同時開催し、この会議体を定期的に実施する体制を整えました。会議体では、募集型の滞在型観光プログラムについて、その内容の協議をするとともに、募集母体の確定など実施に向けて滞在型観光プログラム(ツーリズム商品)の造成、催行に向けての段取りができました。

▲観光戦略会議の様子

以上の取組を活かすための「西米良遺産」情報の整理、編集、発信

 今後、観光の他、地域おこし協力隊や新規就農者、多拠点居住者など外部人材へのプロモーションも兼ね、村内の資源(自然、文化、人など)を広報するための動画を撮影しました。5つのテーマ(①鮎釣りの聖地 清流一ツ瀬川、②柚子、伝統野菜と食文化、③米良神楽・米良の語源について、④ムラの心、受け継がれる武士の精神、⑤民話・方言、ムラの精霊カリコボーズ)で夏、秋、冬の3つの季節それぞれの季節感を組み込み、動画を作成することができました。具体的な取材内容は下記のとおりです。

● 鮎釣り名人(一ツ瀬川の清流の雰囲気も合わせて)
●柚子農家(青柚子、黄柚子の画像含め)
●民話の語り部(米良の語源など)
● 剣道(日本のファーストサムライである菊池一族の武士道の精神)
●神楽の社人・神官(米良神楽について)
●月の神楽(実際に舞っている様子)
●季節の花々(ざる菊)
●森の精霊カリコボーズの話
●猪・鹿猟師の話
●柚子料理大集合
●通学時の中学生の挨拶
●温泉の様子、朝風呂会の活動 など

 

▲柚子料理大集合

 本事業の2年目である令和8年度は、村の特性を生かした農業振興、加工品の開発そして新たな観光振興の体制も整備する中で、村の豊かな地域資源(自然、神楽、ムラ人の技など)を活かした滞在型観光プログラム(ツーリズム商品)の開発も進めていくとともに、それらの商品を国内外の方々に広く知ってもらうためには、動画版「西米良遺産」を製作し発信していく必要があります。

 具体的には、地域おこし協力隊(主として柚子栽培、従は中山間地での野菜栽培など)の導入に向けて「お試し滞在」を企画・実施するとともに、小川地区での「西米良型シン・ワーキングホリデー」の実施に向けて、仕組み・プログラム作りや受入れ体制の整備などを進めます。

 また、1年目に季節的に取材できなかった春のコンテンツの動画撮影を実施し、制作した動画を村観光HPにリンクを掲載して情報発信・PRに活用するとともに、村内観光事業者が作成する観光コンテンツPRツールにおいても活用できるよう、制作協力を行います。食、滞在型観光プログラム(ツーリズム商品)の開発に併せて、商品を生み出した村の歴史、風土、人々の思いなども組み込んだ動画としていきます。

 さらに、季節ごとの滞在型観光プログラム(ツーリズム商品)を造成(例:柚子収穫+柚子胡椒作り、柚子料理、神楽見学など)します。これは、観光DMOの体制整備に向けて、地域内の民間事業者が連携し、観光DMOの機能を各民間事業者が分担して担い、季節ごとの村観光協会の観光PRに合わせて、実際にツアーとモニタリングを実施することで、「西米良ツーリズムガイドブック」の作成に繋げ、村内の観光推進体制を構築していくものです。

 最後に、令和9年度以降も持続可能な取組に向けて、西米良型シン・ワーキングホリデーにより繋がった人々を、他拠点居住含めた移住や、地域おこし協力隊、または新規就農候補者として地域が受け入れるなどし、新たな人材を確保します。そして、農業分野では、独立就農または雇用型での継続を、観光分野では、観光DMOのスタッフとして雇用されるか、または新たなツーリズム推進事業者として独立し、観光DMOや村と連携することでの継続を、それぞれ支援していくことで、持続可能な村づくりに繋げていきます。

自治体担当者

西米良村
むら創生課
吉丸 和弘(よしまる かずひろ)氏

 西米良村は、全国に先駆けてワーキングホリデー事業
に取り組み、多くの方々との交流を生み出してきました。
しかし、コロナ禍以降は利用者が大きく減少し、社会や
働き方の変化に合わせた新たな仕組みづくりが求められ
ています。今回の事業を通じ、令和8年度は「西米良型シ
ン・ワーキングホリデー」を構築するために、農業体験や
地域との交流だけでなく、現在のニーズに合った滞在や
働き方を取り入れながら、西米良村ならではの新しい関
係人口創出のモデルを構築していきたいと考えています。

 また、「西米良型ツーリズムの創出」では、柚子収穫や
神楽、川や山を活かした自然体験など、本村ならではの
体験型観光を確立し、継続的に販売できる仕組みづくり
に挑戦したいと思います。将来的には体験商品としてだ
けでなく、ふるさと納税の体験型返礼品としても展開し、
西米良村を訪れるきっかけづくりにつなげていきたいと
考えています。人と地域をつなぐ新たな挑戦を通じて、
「1,000人が笑う村」の実現を目指して取り組んでまいり
ます。

外部専門家

一般社団法人九州のムラ
代表理事
養父 信夫(ようふ のぶお)氏

 人口1,000人にも満たない西米良村は、「西米良村ワーキングホリデー」という今で言う“おてつたび”的な都市住民との関係人口創出を、全国でもいち早く取り組んでいて、地域づくりでは知られた村です。ただコロナ前から既にこの取り組みも実質動いておらず、今回は、従来の全村での体制は残しつつ、小川集落という集約したエリアで新たな体制で組み立てるために、農水省の中山間地域支援の事業も組み入れながら、関係人口から半農半Xのライフスタイル希望者、農業複合経営の新規就農者という新たな人材の移住定住を促進し、集落内での新たなアグリビジネスの基盤整備、受入れの機運醸成を行っていきます。

 また、観光についても、「米良神楽」がユネスコ世界文化遺産候補に挙がるなど、これからの観光の追い風をしっかり受け止める体制を、実際に季節ごとの高付加価値滞在型観光プログラムを造成していく中で整え、今後のDMO創設の機運づくりもつなげていきたいと思います。

 そのために既に立ち上がっていたツーリズムの組織を再度、舫(もや)い直し、新たな村民、事業者にも関わっていただき、今事業にて協議を行っていきます。

▲西米良型シン・ワーキングホリデーを目指して

働きながら田舎生活(観光旅行)を楽しめる「西米良型ツーリズムの創出」

▲おがわ作小屋村

米良(日向の国の山奥)にある「令和の桃源郷」

▲一ツ瀬川

鮎釣りに川遊び、美しい川の自然とふれあって
みてはいかが

▲にしめら川床

水音と川面の涼を感じながら、食事や飲み物を楽しめる夏の風物詩

この事業で活用された補助金はこちら

 ふるさと財団では、地域再生マネージャー事業の一環として、市町村等が地域再生に取り組もうとする際の課題への対応について、外部専門家を活用して地域住民主体による持続可能な実施体制を構築し、ビジネスの創出、地域経済の活性化、移住・定住の促進、関係人口の創出等を図るために実施する事業について必要となる経費の一部を補助する「ふるさと再生事業」を実施しています。